コーチングとは
コーチング技術=答えを創り出す=
コーチング(Coaching)と聞くと、スポーツの分野などにおいて監督が選手を教え導く、すなわちティーチング(Teaching)をイメージされるかもしれません。しかし、コーチングとティーチングは異なる方法です。
一般にティーチングは、親・先生・管理職などの立場にある者が、子・生徒・部下などを豊かな知識や経験に基づき、目標達成へと導くための指導方法です。そのため、指示・命令型の答えを与えるコミュニケーションに陥る傾向があるようです。
一方、コーチングでは「答えを与える」のではなく「答えを創り出す」サポートを行います。 この考え方は「答えはその人の中にある」というコーチングの原則に基づいています。
コーチングでは「答え」について、「外から与えられた答えは情報」として、「自分の内にある答えを納得感」として位置付けており、 後者の自分の納得感を重視しています。
コーチングでは両者が結び付くことで「その人自身の答え」になると考えるとともに「答えを創り出す」ための基本としています。
しかし、「答えを創り出す」コミュニケーションは、従来のコミュニケーションとは真逆と言えます。
そのため、コーチが知識や経験、相性や属性などにも囚われないことで、相手が本来持っている力や可能性を最大限に発揮しやすくなるサポートの仕方として研究開発された「コミュニケーション技術」がコーチングです。
24の質問で知る「コーチングとは」
ここではコーチングについて関心を持たれた皆様に、コーチングを知りたい切り口から知ることができるよう、一問一答形式でコーチングの紹介をさせていただきます。皆様のコーチングへの関心や疑問への一助になれば幸いです。
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コーチングとカウンセリングは違うのですか?
はい、違います。
ただ、どちらも「聴くこと」を大切にした受容的なコミュニケーションの取り方をするため、外観は似ているように見えるかもしれません。
相違点として、カウンセリングは相手のマイナスの気持ちの状態からゼロ地点へ、いわば落ち着いた状態へと「気持ちの改善」のサポートをする方法といえます。 一方、コーチングは相手のマイナスの気持ちの状態も「相手らしい状態」の一端として捉えて、気づきや行動化に向けた「切り口として活用」のサポートをする方法です。
また、相手に対するコミュニケーションの基軸として、カウンセリングは相手の気持ちの理解や共感を重視した関わり方をするのに対して、コーチングでは相手の気持ちを刺激して活性化することを重視した関わり方であるのも大きな相違点といえます。
2
コーチングとティーチングは違うのですか?
はい、違います。
従来のスポーツのコーチで例にあげると、知識や経験を優れて多く持っている先達者が、後進の選手たちを目標に向けて教え導いていくこと、これはここでいうコーチングではなくティーチングです。
相違点として、ティーチングでは知識や経験など「後天的なものを力」としてティーチャーが相手を教え導く方法といえます。一方、コーチングは「相手が相手を導く」方法です。コーチが相手の「触媒役」となり、相手の意思や感情・反応など「先天的なものを力」として行動に反映され主体的かつ持続的なものになるためのサポートをします。
つまり、コーチングにおいて知識や経験などの多寡は二義的なものとなります。
3
問いかけて聞くことがコーチングなのですか?
はい、コーチの動作を短く表現するとそうなります。
コーチングの学習機関によって相違がございますが、当機関のコーチングでは、傾聴技法・承認技法・質問技法を組み合わせた一つのコミュニケーションの型として行います。
また、このコーチングのコミュニケーションの型を「気づき」を目的としたコーチングセッションや、「行動化」を目的としたコーチングセッションに対して、それぞれのセッションの手順に基づいて使用します。
そもそも、日本にコーチングが紹介された当初は、型はありませんでした。 そのため、コーチ自身従来のコミュニケーションの取り方の中で適宜、コーチングの傾聴、承認、質問等を行っていました。 このことは、コーチのスキル活用の自由度が保たれる一方で、 ややもすると自己流に陥りやすくなるとともにコーチングが誘導尋問的に変質してしまうことが少なくありませんでした。 結果、コーチングを機能させることができるのは、もともとコミュニケーション能力が高い人に限られてしまう傾向が否めませんでした。
これらを始めとした多くの課題から研究開発が進み、当機関ではコーチングとしてのコミュニケーションの取り方の型を構築しました。
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コーチングに相性は重要なのですか?
当初のコーチングでは相性が重要とされていました。なぜなら、前述③のとおり、コーチ自身のコミュニケーションの取り方の中でコーチングスキルを自己判断で使用していたため、従来のコミュニケーションが抱えがちな課題をそのまま持ち込んでしまうことになったからです。 それは、「相性が合わない、性格が合わない、価値観が違う」といったことが、人間関係やコミュニケーションの終わりを意味してしまいがちになるという課題でした。
しかし、現在では研究開発が進み、当機関では相性はコーチングの重要な要件ではありません。コーチングとしての専門的なコミュニケーションの「型」に基づいて相手と関わるようになったからです。このことは画期的な変化を創り出すことになり「相性が合わない、性格が合わない、価値観が違う」といったことが人間関係やコミュニケーションの終わりではなく、始まりとしての切り口に転換してしまったのです。
つまり、お互いが違うということが離れる理由ではなく、関わる理由にしたところに新しさがあります。当機関のコーチ養成プログラムはそのための理論と基本要領そして訓練方法として構成されています。
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コーチングの『答えはその人の中にある』とは?
コーチングの原則に相当します。コーチングのコミュニケーションが機能するうえで基本的な考え方にあたるものです。ただ、「答え」の解釈に学習機関によって幅が生じている現状があります。
知識や経験、解決方法などの客観的なものを「答え」として捉えるのではなく、当機関は、その人の意思や感情、反応などの主観的なものを「答え」の素地として捉えます。さらに、この主観こそが他者との違いであり、その人らしさや自発的な行動の源泉として位置付けています。しかし、この主観がその人自身の思考・感情・行動などへの大きな影響力をもつ重要なものでありながら、本人は無自覚であることが多い為、コーチングでは「気づき」の対象として位置付けています。
このようなことから、知識や経験、解決方法などは二義的なものとして扱われ、その人が、それらをどのように活用するかの対象として、いわば「道具」としての位置づけとなっています。
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なぜコーチングでは『自発的な行動』を重視するのですか?
その人の主体性の発揮を支援する方法だからです。また、持続的な行動に向けた第一歩が自発的な行動だからです。
夢や目標が大きいほど時間や労力など様々な負担が生じます。これらに耐えうるには、「やらされ感」の行動ではなく、「自分なり」の行動であること、その人の主体性が反映された行動に持続性があるとみなしているのです。なお、ここにおける主体性とは、前述⑤の「答え」が基礎となるものです。
このようにコーチングの自発的な行動とは、主体的な行動であり、主観的な行動でもあり、自分らしい行動とも言い換えられるものです。
7
コーチングの『協働関係』って何ですか?
コーチングとしての新しい人間関係の種類です。たとえば、信頼関係は人間関係が変化・発展した状態といえます。では、どのようにしたら他者と信頼関係を育めるのか?
自己流の場合、信頼関係を育めたり、育めなかったりと、相手によりけりで難しいことが多いのではないでしょうか。
コーチングでは、技術的に協働関係という、いわば「中間状態」を創り出すことを通じて信頼関係を育んでいきます。この中間状態である協働関係では前述②、④、後述⑯にもあるとおり、相手が主観を自己開示することを支援するコミュニケーションの取り方となっています。
8
そもそもコーチングとは?
当初のコーチングは、相手のやる気や自発的な行動を引き出し、目標達成や自己実現を支援する手法として紹介されていました。
ところが、これらは相手の主観を積極的に反映させるものだけに、希望的観測のような「結果」になりがちでした。 さらに、コーチングは相手が主観を自己開示できるための支援が不可欠ですが、これが容易ではないのです。 違う主観を持つ他者(コーチ)が積極的かつ肯定的に相手の主観の自己開示を支援するためには、そもそもコーチ自身に卓越したコミュニケーション能力が備わっていることが前提のようになってしまっていました。
このようなことから、とくに当機関のコーチングは信頼関係を育むことを基本としたコミュニケーション技術となっています。なぜなら、信頼関係が無いと相手の自己開示の質量が上がらないからです。 自己開示の質量が低いとコーチングセッションが深まらず、先天的な力への気づきのサポートもままならなくなります。
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結局、コーチングとは相手の自立や成長を支援する方法ですよね?
はい、そういえます。ただ、もう少し発展的なものといえるでしょう。それは「自己成長の習慣化」の技術であるということです。誰しも、歯を磨いたり、顔を洗ったりなどのたくさんの生活習慣がありますが、これらとは全く異なるものの習慣化です。
また、成長についても従来的な意味とは異なります。たとえば、身長が伸びたとか、怒りを我慢できるようになったとか、成績が下位から上位に上がったなど、身体的・精神的・能力的なことに関する向上(結果または成果)について成長と捉えてきたのではないでしょうか。さらに、自立についても、経済的な自立や精神的な自立などの従来とは異なる意味合いのものとなっています。
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コーチングを学ぶことで自分を成長させることができますか?
はい、可能です。
とくに当機関でコーチングの技術を学ぶということは、「セルフ・コーチング」の技術を身につけることでもあるからです。セルフ・コーチングとは、自分で自分をコーチングするということです。
もともと、コーチングは、コーチが「相手が相手を成長に導く」支援方法のため、セルフ・コーチングの場合「自分で自分を成長に導く」ことになります。ある意味、本来の使い方ともいえるでしょう。
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コーチングってどこで学んだらよいですか?
これは、ご自身のご判断になります。現在、たくさんのコーチングの学習機関様がそれぞれの趣旨に基づいてコーチングを教授されていますので、説明会などに参加して、直接、主催者の考えなどを確認されることをお勧めします。
とくに「どこで学ぶか」よりも「なにを学べるか」の視点を重視されると効果的かもしれません。外国団体の認証有無などではなく、コーチングを技法として学べるのか。たとえば、「感情」の重要性や活用の仕方などが「講義」として学べて「技法」として実践できるプログラムであるのか、などです。
そのうえで、通学タイプや通信タイプ、学習プログラムの内容、受講日程・場所や受講定員、受講料の高価・安価の理由、講師のレベル、 社歴を始めとした学習機関の実績や安定性、公共性の有無など、ご自身のニーズと共にこれらのことを、お調べになりご判断されることをお勧めします。もし可能ならば説明会のほか、希望の学習機関の手軽に受講できる講座を受講されると判断しやすいかもしれません。
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コーチングの資格はどこの学習機関のものが良いですか?
これも、ご自身のご判断になります。なお、現在コーチングの資格は「国際資格」「認定資格」と営業されてるものや、当機関のものも含めてすべて民間資格です。そのため、国家資格(たとえば医師資格のように)がもつ排他的独占性などは一切ございません。極端に言えば、コーチ資格を取得せずともコーチングの活動ができてしまえるのです。
したがって、コーチングの資格を取得することは、ご自身のコーチング知識や実践力の水準を客観的に確認するためのものといえます。 コーチングの資格は国家資格でも公的資格でもないため、法律などが保護してくれません。 そのため、コーチ自身の実力そのものが求められることになります。
しかしながら、一般的なコーチ資格は、在宅試験や「何人と、何時間のセッション経験を積んだ」ことで取得できるために主観性が強くなりやすく「思い込みの実力」になることも否定できませんでした。このことは、コーチが自分の価値観や人生観、経験則による「コーチの頭の中のシミュレーション」の「相手不在のコーチング」に陥りがちで、ユーザーとの「ボタンの掛け違い」を生じさせやすい傾向もみられました。
だからこそ、コーチ資格取得にあたっては、検定試験などで学習用語や技法の理解、論述能力などコーチングの説明能力と実技能力が試験官の面前で審査を受けるなど、客観的な評価を受けて実力を確認できる資格が有効です(資格取得のためのトレーニング機会も用意されていることも含む)。
民間資格のため本人の実力が求められやすいことから、まずコーチングを学ぶ上で、コーチングの「技術講義」を明確に教授しているスクールで学ぶことができて、コーチングの実力を学科試験や実技試験を経て取得できる資格をお勧めします。
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コーチングは他人が怖くても学べますか?
はい、学べます。
他人が怖くなってしまう理由は様々にあると思われますが、その重要な一つに「感情に対する苦手意識」があります。私たちは成長過程で理性を身につけていきますが、その理性によって自らの感情を制御することができるようになっていきます。すると、気づかぬうちに感情は不安定要素として自身の中で忌避すべき対象にしてしまい、苦手なものにしてしまう人が少なくありません。 結果、自分の感情を無意識に相手に投射してしまい、相手の感情が怖い→相手が怖いと感じてしまうようです。 人なのに人が怖い、人間関係が苦手、人間関係が負担になることもしばしばです。
当機関の学習プログラムでは、技術を学ぶとともに、その対象となる主観に触れるトレーニングを段階的に進めていきます。相手の主観に触れるためにも、自分の主観に触れること、主観の主要素である感情に触れられることが技術実践における心理上の「筋肉」となります。それゆえ、他人が怖いどころか興味・関心の対象となりやすくなります。
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コーチングは自分が嫌いな人でも学べますか?
はい、学べます。ただ、最終的には自分のことが好きになってしまう可能性をもつのがコーチングの学習です。
自分を嫌いになってしまう理由は様々にあると思われますが、その重要な一つに「部分承認」があります。これは自分の承認の仕方が、言葉通り部分的な承認になってしまっているということです。主に学校教育を通じて知識の習得を中心とした自己形成をしていくことが影響を与えているようです。 そのため、知識や経験の多寡で自分の承認の可否が左右されてしまいがち。しかしながら、知識や経験をどんなに増やしても、それは「後天的な力」であり「道具」です。けっして「先天的な力」にとって代わることはできません。
このように、自分が「部分承認」に留まっていると根本的な自信をもちにくい、とコーチングでは考えています。プログラムを通じて「先天的な力」による根本的な承認の仕方を学べるため、「自分が自分であることからの安心感」から、結果として自分が嫌いでなくなってしまうことが考えられます。
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コーチングはコミュニケーションが苦手な人も学べますか?
はい、学べます。ただし、現状を何とかしたい、というお気持ちがあることが前提条件となります。
ちなみに、「コミュニケーションが苦手」は「人間関係が苦手」とほぼ同じことになりますが、広い意味では思い込みであることが少なくありません。 自分にとっての当り前の「思考・感情・行動」のはたらきが、自分特有の「現実」を形づくっている実態を体感して、 自分なりに行動する新たな糸口を作っていきます。 これら「自分の思いがけない現実(実態)」を、コーチ養成プログラムの学習課程で学べます。
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コーチングの『対等な関係』って本当ですか?
はい。ただ、厳密に言えば対等な関係のようになりやすい、というのが実際に近いと思われます。
前述②のとおり、コーチングでは相手の意思や感情などの主観に焦点をあて、定性的なものを大切にしたコミュニケーションをとります。 そのため、知識や経験などの定量的なものは二義的な扱いとなるコミュニケーションから、 相手の主体性が喚起されて率直な発言などの本音をコーチと共有されやすくなる傾向があります。
結果として、年齢や性別、知識や経験の多寡、地位の上下などが、お互いの意識の中で後順位になってしまい対等な関係が生じやすいというわけです。
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コーチングはどこで使えますか?
コーチングは個人にも組織にも使える技術です。下記のとおり、様々な場面で個人や組織のパフォーマンス向上に貢献します。
◎組織で ~「人こそ、最大の資産」 人を活かすために~
営業に、交渉に、面談に、問題解決に、企画立案に、部下教育に、目標達成に、リーダーシップに、フォロワーシップに、知識創造に、組織改革にetc
◎個人で ~「自分を成長させる」 自らに変化を創り出す~
セルフ・コーチングに、自分らしさをカタチにするために、役割・義務・責任を自己表現につなげる、自分の強みを育むために、自分を好きになるために、夢をもつために、自己実現に、親子関係に、夫婦関係に、友人関係に、恋人関係に、課題解決にetc
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もつれてしまった親子関係をコーチングで何とかできますか?
はい、コーチングが貢献できるかもしれません。
とくに当機関のコーチングは、相手の意思・感情・反応などの主観に丁寧に関わることを可能にして、信頼関係を育むことに重点を置いたコミュニケーション技術です。そのため、もつれた糸をほどく一助としてご活用いただけます。 「いつもすれ違う」「どうしても怒ってしまう」「自分の子供だけど理解できない・・・」など、コーチングを大いに活用いただけます。
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「困った部下(周りと連携できない)」をコーチングで何とかできますか?
はい、コーチングが貢献できるかもしれません。
ただ、コーチ役の方に気をつけていただきたいことがございます。それは、コーチングが「改善」ではなく「活用」の方法であるということです。 ですから、部下の方の現状を「誤りや欠陥」があるものとして、正しく改めることを目的とした方法として用いることはできません。
まず、前述⑧や⑬のとおり、コーチングの技術の実践を通じて、お互いの人間関係を協働関係に進めて、そこから信頼関係を育んでいくこと。信頼関係が生じると、相手は率直な思いや考えを開示しやすくなる傾向があります。さらに、こちら側の提案や要望に対する「聞く耳」をもちやすくなる傾向もあります。コーチングでは、これらを「活用」して、相手なりに周りと連携する仕事の仕方を考え、行動化へと進めていく支援の仕方となります。
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コーチングは相手をカテゴライズ(分類)して行うものですか?
はい、当初はカテゴライズしているコーチは多かったかもしれません。コーチングセッションのアイスブレーキングや相手を理解し持ち味を活かす支援の一助として、広く行われてきました。しかし、現在では研究開発が進み、とくに当機関では行いません。
たとえば、○○タイプや△△タイプetcにカテゴライズをしてしまうと、ややもするとレッテル張りをしてしまい、それに囚われてしまうことも考えられるからです。そのため現在は、カテゴライズしたり、相手の特徴を見定めようとするよりも、「相対化」を重視したコミュニケーションの取り方を重視しています。これは自分と相手は違う力をもつ存在であることを前提とした技術的なコミュニケーションの取り方です。
したがって、カテゴライズではなく相手の先天的な力の深堀のサポート(自己開示を促す)を進めていくものとなっています。
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コーチングは何百もの質問を覚えなければならないのですか?
学習機関様によっては、300~500の質問を覚えることを指示される場合もあるようです。当機関は違います。
質問技法は一つだけです。一方、質問技法を補助する質問表現は「無限」です。これは質問の表現を覚えるのではなく、無尽蔵に作り出す「方式」を覚えることで可能になります。これらの結果、何百もの質問を覚えることは必要ありません。
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コーチングって誘導尋問みたいなものですよね?
いいえ、誘導尋問みたいなものではありません。コーチングは「相手が相手を導く」ことをサポートするコミュニケーション技術です。
しかし、日本に上陸当初のコーチングは、コーチ自身の個人的なコミュニケーション能力の範囲で「傾聴・承認・質問」などを行っていたことや、コーチングセッションの種別や手順・要領(「気づきを促すセッション」や「行動化を促すセッション」)が構築されていなかったため、コーチ自身が一方的にシュミレーションしてしまい、結果としてコーチの落としどころに誘導してしまっていたことが少なからずあったように思われます。
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コーチングって胡散臭く感じます。なぜでしょうか?
どのようにお感じになるかは、その人自身のことですので当機関として抗弁しません。
ただ、コーチングはその人の「気づき」を「行動化」の源泉とした技術です。そのため、客観よりも主観を重視したコミュニケーションの取り方になります。このことが影響を与えているのかもしれません。
また、従来は「型」ではなく、自分なりのコミュニケーションの取り方の延長線上で適宜、傾聴・承認・質問を行っていたために、「自己流コーチング」に陥ってしまわざるを得ない事情もありました。
結果として「コーチ満足、相手不満足」となることを招きかねず、「コーチのひとりよがり」のように映ってしまい、相手に不快感や胡散臭さを与えてしまっていたのかもしれません。
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コーチングって甘っちょろい感じがします。意味あるの?
はい、努力や根性の精神論的な視点から見た場合、格別に甘っちょろく感じるかもしれません。いわゆる従来的な努力や根性に基づいた行動の仕方は、コーチングの視点からすると「凪の海を櫂でひたすら進むかのごとく」として捉えています。
コーチングでは人がもつ主観(反応)を風と捉えており「自らの帆を張り自らの風を受けて海を進む」ことを重畳とした行動の仕方です。夢や目標が大きいほど時間や労力がかかるため、この違いは大きなものとなります。