
セルフコーチングとは? 基礎知識と効果、注意点について
セルフコーチングとは、「自分と自分のコミュニケーション」をとることを通じて、自分の心の状態や意思を確認することや、自分の目標を設定し達成に向けて「自分の強み」を行動に活かす方法です。近年、自己成長の手段として注目を集めています。
「コーチング」と聞くと、まだ多くの方々は専門家が指導・助言などを行う「ティーチング(教える方法)」などの昔のイメージが強いかもしれません。現在の「コーチング」は、相手の力を引き出す方法です。そのため、セルフコーチングは自分で自分の力を引き出す方法とも言えます。
今回は、セルフコーチングの基礎知識や効果、注意点などについて分かりやすく解説します。
自分自身と向き合い導く「セルフコーチング」
セルフコーチングは、自分自身がコーチとなり、コーチである自分が、自分とコミュニケーションをとる新しい手法です。自分自身と向き合い「自分を深く知る(引き出す)」ことで、自分が納得して行動するための「導き手(強み)」にすることがこの手法の目的です。
具体的には、まず落ち着ける環境を準備します。そしてパソコンや筆記用具などを用いて、目標に対する自分の思いや考えを記述することを通じて「自己開示」していきます。こうすることで自分の「目標」に対する「熱量」を知りなおすことにつながります。
なお、自己開示を深まりやすくするためには普段からのトレーニングが効果的です。このことはセルフコーチングに限らずコーチングも、自己開示を自分の強みに気づくための最も重要な手段として位置づけていることについては同様です。
自己開示のトレーニングは、自分の喜怒哀楽などをはじめとした様々な感情を「いつ・どこで・何に対して・どのように・どのくらい」抱きやすいのかを感じることであり、それらを文字として記述して、自分の感情の傾向や影響力を「可視化」することです。
このことにより、自分の好き・興味関心・問題意識、すなわち自分なりの「ワクワク・ドキドキ」やその対象の傾向などを深く知ることが可能になります。
このように、自分自身と向き合い感情面を軸に「自分を深く知る(引き出す)」ことで、自分が納得して行動するための「導き手(強み)」を自分に見出すことにつながります。そのため、目標への意欲が高まるとともに現状に対する得手不得手の分析、積極的な行動プラン作成や実施に反映されやすくなります。
以上のように、セルフコーチングは、感情を抑えるものではなく、活かすものとして捉えていること、さらに結果・成果(終わり)よりも、「始まりとプロセス」に焦点をあてた取り組みであることに特徴があります。
人の意思や感情を強みとして活用する特性から、コーチングと共に人の可能性を拓く新時代の新しい手法として利用され始めています。
セルフコーチングの効果とは
セルフコーチングには、自分自身と向き合うことで得られる多くの効果があります。
自己認識の大幅な向上
最大のメリットは、自己認識の大幅な向上です。「自分と自分のコミュニケーション」をとることで、自分自身と向き合い「自分を深く知る(引き出す)」ことになります。
自分を深く知ることは、自分が納得して行動するための「導き手(強み)」を得ることにもつながるとともに、目標の明確化や具体的なアクションを起こす大きな力となります。
自分のプライベートが完全に保たれる
また何よりも「自分と自分のコミュニケーション」であるため、プライベートを他者に聞かれたり見られたりすることなく行えます。
このため、通常のコーチングに距離感や抵抗感をお持ちの場合は、セルフコーチングが利用しやすいかもしれません。安心して自分に自己開示を進めて自分と向き合うことができます。
自分の軸を得る
セルフコーチングもコーチング同様、これまでは「活用」の対象としていなかった自分の意思や感情を「導き手(強み)」として可視化することで行動の原動力とします。こうして「頑張らない目標達成」に役立ちます。
セルフコーチングを日常化していくことによって、意思の強化や自分に自信をもつことにもつながり「自分の軸」を得やすくなります。
ストレスマネジメントとモチベーションアップ
セルフコーチングはストレスマネジメントとモチベーションアップにも効果的です。
日常生活で「役割・義務・責任」を果たすことを優先することを通じて、自分の意思や感情を抑えたり遠ざけたりしてしまうことは少なくないのではないでしょうか。
セルフコーチングをすること、自分を優先させている時間ともいえます。「自分と自分のコミュニケーション」をとることで自分本来の意思や感情を取り戻すことになるためストレスマネジメントとして役立ち、自分が自分であることの安心感、心の安定を感じやすくなります。このことは同時に、新たなエネルギーやモチベーションにもつながります。
このように、セルフコーチングの活用は「自分が自分の助け」となってあげることになり、人生や仕事のキャリアの質を高める大きな力となるのはないでしょうか。
セルフコーチングを効果的に進めるコツ
セルフコーチングを効果的に進めるには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。
「自分自身」に興味関心を持つこと
まず「自分のことは自分が一番わかっている」と思っておられるならば、それは誤解です。もしそうでないならば、自分自身を活用できる達人として、それこそ皆の参考にもなるような「大成功」を遂げていることでしょう。でも、そんな人はそうはいません。
したがって、セルフコーチングもコーチングも「自分は最初から自分なので、何がどのように自分なのか、余りにも身近過ぎてわからない」が自分自身の捉え方の前提条件となります。
そのうえで、最も身近なものから自覚の対象としていきます。そのひとつが「感情」というわけです。この感情は喜怒哀楽などの種類だけでなく、反応の程度として「大小・強弱・濃淡」があり人それぞれです。ここに、この手法は「違い」を見出して「その人らしさ」を捉えています。そのため、自分自身に興味関心を持つことは、自分自身の感情に興味関心を持つことであり、すなわち「自分に自分を教えてもらう(自分を深く知る)」セルフコーチングの「事始め」となります。
自分のための時間をつくる
自分のための時間をつくることはセルフコーチングの基本です。そのため、時間を定期・不定期問わず意図的に確保できるよう心がけましょう。日々の忙しさに流されると、自分と向き合う時間が取れなくなりがちです。
できれば毎日少しの時間、まとまった時間で行いたい方は、週に1回や月に1回のスケジュールを作り、ご自宅やカフェなどで「自分と自分のコミュニケーション」をとる時間を確保しましょう。
自分を知ることを習慣化する ~記録(可視化)でサポート~
効果的なセルフコーチングにするためには「自分と自分のコミュニケーション」による自分の意思や感情を記録(可視化)することを習慣化できることが非常に大切です。ノートやメモ帳、スマホ・パソコンなどに書き留めることで、「自分自身」を文字として可視化できます。また、取り組みの進捗度を知るためにも役立ちます。
「擬人化」などのスキルを身に着ける
「内面の自分自身」を擬人化するスキルなどをコーチングの学習機関で身に着けることは大変有効です。
コーチング本来の基礎・応用の知識を学び、セルフコーチングの根幹を支える擬人化のスキルなども学習することで、一層楽しく効果を感じながら取り組むことが可能です。
自分をもっと知りたい・活かしてみたい方はご検討されてみてはいかがでしょうか。
セルフコーチングの注意点
セルフコーチングを効果的に行うためには、注意点についてもよく理解しておく必要があります。
自分を深く知ることは難しい
やはり自分自身に興味関心を持って「自分と自分のコミュニケーション」をとることはピンとこない方は多いのではないでしょうか。それは、自分が自分にとって「ゼロ距離」だから無理がありません。近過ぎるのです。そのため「自己客観視」も簡単ではないわけです。
そのうえ、「自分のことはわかっている」という意識の方は大多数のため、なおさら「自分を深く知る」ことは難しい取り組みとも言えるかもしれません。
だからこそ、前述の手順のように、日々の自分の意思や感情を少しずつ意識していってみませんか。自分の傾向や特徴の再認識のみならず「大発見」も可能です。
思い込みの枠を超えられない
私たちは、良くも悪くも「認識」という「思い込み」の中で生活しているといえます。
最も身近な認識は、自己認識と共通認識(常識:我が国の倫理・習慣・道徳・伝統・文化をはじめとした一般教養など)といえるでしょうか。
これらの認識は必要なものですが、たとえば「自分はこのような人間だ」「これはこのようなものだ」という認識は、「知識や経験によって正当化された知恵」として自分の中では変更不能な結論としての影響力をもちやすい傾向があります。
このため「認識」は少なからず「思い込み」という「枠」ともなり、自由な自己開示の妨げになってしまい「枠」を超えられなくなることがしばしばです。
時には人に相談する、指摘を求める
自己流のセルフコーチングの場合、自分一人で考え込んでしまい、周囲のサポートや意見から遠ざかってしまう恐れがあります。
自己開示が詰まってしまったり、特に難しい問題に直面した際は、信頼できる人に相談したり、専門家の助言や指摘を求めたりする柔軟性を持つことが大切です。
セルフコーチングは継続が大切です。効果を実感するには時間がかかる場合がありますが、自分のペースで、小さな実感を積み重ねることを意識しましょう。
セルフコーチングがもたらす可能性と未来
セルフコーチングは、コーチングと共に人の意思や感情を強みとして活用する特性から、人の可能性を拓く新時代の新しい手法として利用され始めています。
また、セルフコーチングの活用は「自分が自分の助け」となってあげることになり、人生や仕事のキャリアの質を高める大きな力となるのはないでしょうか。
今回ご紹介した内容を参考に、ぜひセルフコーチングを取り入れてみてください。一歩踏み出すことで、「あなたに待ちわびている自分」に出会えるかもしれません。

コーチングは現在、ビジネスの場面をはじめ、プライベートの場面においても広く用いられるようになってきています。
それは、コーチングが人の「強み」を伸ばし、行動化をサポートする新しいコミュニケーションの技術であることが理由かもしれません。この技術の新しさは、相手の不平や不満という負の感情さえも、建設的な力への転化が可能であることです。
さらに注目したい画期的な効果として、コーチングが「違い」を活かし合う創造的なコミュニケーションの手法であることから、
相性や性格、価値観が合わない相手との対応力を向上させることも可能にしてしまう点です。
結果として、自分のコミュニケーション能力の飛躍的な向上やリーダーシップなどの幅を広げることに役立てられます。
コーチングは「自分らしさ」も「相手らしさ」も大切にし、「お互いを高め合う」コミュニケーションの手法ともいえます。
老若男女、職種などに関係なく学習し、さまざまな場面で活用できる技術です。
