
友人との信頼関係を育むためには? 「違い」の捉え方がポイントに
友人関係において、ちょっとしたすれ違いや気遣い不足が原因で、関係がギクシャクしたり、疎遠になってしまったりした経験を持つ方は多いのではないでしょうか?
友人だからこそ少々の不和でも揺るがない信頼関係を育む工夫が大切ともいえるでしょう。
今回は「基本の再確認」と共に、友人との信頼関係を育むために日常生活の中で意識すべきポイントや、実践できる工夫について詳しく解説します。
友人関係の基本を理解する
まず、友人とは「互いに心を許し合って、対等に交わっている人。一緒に遊んだりしゃべったりする親しい人」(出典:デジタル大辞泉)と辞書では意味するようです。
このことから、友人関係はお互いに垣根なくプライベートを含めて様々なやり取りをしやすい関係といえるため、信頼関係が基本にあることがわかります。
なお、そこまでの関係ではない相手を、ここでは「知人」として位置づけます。
基本①お互いに尊重し合えること
「親しき中にも礼儀あり」のように相手を尊重すること。相手の意見や価値観を認めるだけでなく、嘘が無いこと、約束やプライバシー、感情を大切にすることも含まれます。
例えば、打ち解け合った友人同士でも、細かいところはもちろん信念や信条なども自分と違っていることが少なくありません。そのような場合でも「そういう考え方もあるね」と捉えられる姿勢が大切です。
また、自分は頻繁に連絡を取りたい・会いたいと思っていても、相手が多忙の場合や、連絡頻度が少ないタイプの場合など、相手のスタイルも許容する姿勢も必要といえるでしょう。
基本②見返り無しに助け合えること
いわゆる善意の施し合いが自然に働き合っている関係であること。例えば、友人の悩みへの相談や問題への協力などを、少しでも自分が助けになれればと見返り無く行えるかどうか。この点は、相手との現状の関係がどの程度であるかを振り返る目安の一つになるかもしれません。なお、見返りが無い分、この関係が片側に偏ってしまう場合には不和が生じることも。
また、友人であっても「仕事を依頼」(契約)した場合、「代金は払うし払ってもらう」ことは当然のことです。同様に、金銭についても貸し借りが無いように努めることも重要です。
友人との信頼関係を育み深める工夫
友人関係ゆえに「わかり合えているという」感覚が強すぎると、ケースによっては摩擦や距離感を作り出してしまう可能性があります。
でも、「違い」を前提にして関わることで、相手を尊重しつつ、自分自身も無理をせずに付き合えるようになるかもしれません。
「違い」に関心を持つ
友人関係といえどもお互いに十人十色の個性を持つ個人同士。お互いが尊重された関係を保ちかつ信頼関係を育むためのポイントの一つは「違い」に関心を持つことです。
とくに永い友人関係にある場合、お互いの共通点があるだけではなく、お互いの「違い」に好意や関心、魅力を感じるからこそ関係が維持されてる理由にもなっているのではないでしょうか。
ただ、友人関係ゆえ「わかり合えている者同士」という感覚も生じやすいかもしれません。それだけに、自分の善意や誠意を土台とした言動や振る舞いが、相手に否定的に受け止められてしまった場合、ショックを受けてしまう可能性をはらみます。
例えば、自分:「○○って、当然△△だよね!」、相手:「ん~、それは違うでしょ。」などの「見解の相違」がショックにつながる場合があります。さらに内容によっては、ちょっとした「意見のすれ違い」で終わらずに、友人関係をこじらせてしまう原因になりかねない恐れをもちます。
だからこそ、「違い」を前提に関わってみること。これは「わかり合えている」ことは前提にならず「今度は何を分かち合えるだろうか」が前提になるということ。
このように「違い」に関心を持つことで、期待した反応が返ってこないことによるショックを回避できるだけでなく、終わることのない「始まり続ける関係」が可能になります。
率直に「話す聴く」
「自分の発言は相手に反対されるのではないか?」「自分の発言は相手の気に触るのではないか?」「自分の発言は相手に見下されることになるのではないか?」「自分の発言は相手の迷惑になるのではないか?」などが理由で、相手が友人であっても率直に話すこと・発言することを避けている人は少なくないようです。
でも、話さないことには何も伝わりません。ここでも「違い」を前提に「話す」のです。そのとき必ず「わたしの考えとは〇〇です」のように「わたし(自分)」で発言を始めます。そして次に、「あなた(相手)」の考えも聴くという「手順」をとります。
こうすることで、お互いの考えを分かち合えることにつながります。どちらが正しいかどうかではなく「同じものを複眼的に見る」コミュニケーションの取り方となります。
そのため、率直に「話す聴く」を行いやすく、お互いを尊重した友人関係を深めることの一助になるかもしれません。
「お節介(気づかい)」としての「踏み込んだ傾聴」
最近、友人に「お節介」なことをしましたか?多くの方々はいたずらに踏み込まないように遠慮されているのではないでしょうか。たしかに、他人や知人に対する「お節介」を控えることはその通りかもしれません。しかし、友人関係にある相手にも同じようでは「他人行儀」に映りかねません。
また、SNSによるコミュニケーションが発達してきた昨今においては、お節介どころか、リアルコミュニケーション自体が希薄になっているのではないでしょうか。前述の率直に話す聴く機会も大変少なくなっているかもしれません。
それならば、尚更、今の友人関係を大切にしたいものです。では具体的にどうするか?
それは、友人が悩んでいることやイラ立っていることをチラリと話してくれた時に「聴かせてほしい」と、友人の不都合に感じていることや気持ちに関わり共有します。
ただし、傾聴に徹するようにして、助言や解決策の提案は避けることがポイントです。これが踏み込んだ傾聴としての「お節介」のかたちです。友人の不都合に口出しせず「まるっと共有できる」ことも真の友人として大切なことではないでしょうか。
友人関係は普段の人間関係から ~心がけたいこと~
友人関係を育むことも、保つことも、やはり普段の人間関係が基本です。
いつもの人間関係を大切にすることで、友人関係を無理なく大切にすることにもつながるのではないでしょうか。
あいさつや清潔感を欠かさない
「おはよう(ございます)」「こんにちは」「こんばんは」などの挨拶を、親しい関係にある場合は省いたり、若い世代では違う表現を用いる人もいるようです。「親しき中にも礼儀あり」を基本に、普段の人間関係も友人関係も変わらないあいさつをおすすめします。
また同時に、お互い気持ちよくかかわるためにも清潔感も心がけましょう。
「ありがとう」「すいません」の一言を伝える
「ありがとう」の感謝の気持ちを言葉にして伝えることは、相手を尊重し人間関係を大切にする一言です。同様に、相手に対する声かけや相手からの気遣いなどに「すいません」の一言も大切です。日常のちょっとした場面での小さくて重要な「人間関係の潤滑油」です。
クイックレスポンスを心がける
相手からの連絡(メールやラインなど)に対する返信の速さはいかがでしょうか?内容によりけりですが、クイックレスポンス(素早く返信をすること)を心がけましょう。返信が早いと気持ちがいいだけでなく、尊重されてる印象も持ちやすいものです。
「I(アイ)メッセージ」で双方向のやり取りを心がける
たとえば、「この件、わたしは○○の考えだけど、あなたの考えを聴かせてほしい。」のように、自分の思いや考えに「わたしは/わたしの/わたしの場合」をつけて個人の意見であることを明確にすることがポイントです。
これは、物事に対する決めつけた言動を避けることにもつながります。そのうえで、相手の思いや考えに耳を傾けます。
こうすることで、双方向のコミュニケーションが生まれて相談や意見交換を行いやすくなります。
自分の「損得」「要不要」で仕分けしない
人間関係を自分にとっての合理性で判断し、関わる相手を自分の「損得」「要不要」などで仕分けをしてしまうことは避けましょう。自分の限られた知識・経験・価値観などで仕分けしてしまわず、「違い」を基本にして人間関係の広がりや深まりを大切にしたいものです。
「違い」を尊重して助け合い、友情を築こう
どんなに気が合う友人であっても、お互いの「違い」が持ち味として尊重されていることや、損得を挟まない助け合いのつながりを無くしては、関係は次第に疎遠になりがちです。また、人それぞれに大切にしている要素もあることでしょう。
友人関係は、日々の人間関係の延長のもと、小さな積み重ねによって築かれていくものなので、相手の気持ちや状況に寄り添う姿勢を持ち、良好な友情を育みましょう。

コーチングは現在、ビジネスの場面をはじめ、プライベートの場面においても広く用いられるようになってきています。
それは、コーチングが人の「強み」を伸ばし、行動化をサポートする新しいコミュニケーションの技術であることが理由かもしれません。この技術の新しさは、相手の不平や不満という負の感情さえも、建設的な力への転化が可能であることです。
さらに注目したい画期的な効果として、コーチングが「違い」を活かし合う創造的なコミュニケーションの手法であることから、
相性や性格、価値観が合わない相手との対応力を向上させることも可能にしてしまう点です。
結果として、自分のコミュニケーション能力の飛躍的な向上やリーダーシップなどの幅を広げることに役立てられます。
コーチングは「自分らしさ」も「相手らしさ」も大切にし、「お互いを高め合う」コミュニケーションの手法ともいえます。
老若男女、職種などに関係なく学習し、さまざまな場面で活用できる技術です。
