修了生の声「中西 真一さん」
「人はこれほどまでに違うものなのか」
中西真一さん(45歳) 作業療法士(リハビリテーション)
【第26期CP応用コース修了】
中西さんはお仕事がら職場の中で人とどのような関わりをしたらいいかということが常に気になっていたとのこと。本格的にコーチングを学び始めた経緯、そして学んだコーチングをどのように活用されているのかをご紹介いただきました。
コーチングを学んでみようと思ったきっかけは何ですか?
リハビリテーションという仕事と課長という役割上、利用者様への助言・提案や部下との指導的な関わりをする機会が多くあります。そこでどんな関わりをしていったらいいかということは常に気になっていました。ある休日、時間つぶしにコンビニで本を眺めているときに、コーチングの本を見つけました。何気なくぱらぱらとめくっておもしろそうだったのでそのまま購入しました。
部下・後輩の育成や利用者(患者)との関わりに役立ちそうだと感じたので、他養成機関の医療従事者向けの半日セミナーに参加しました。実際に体験してみて、「これはつかえそうだ」と実感しましたが、物足りなさを感じて本格的に勉強しようと思いました。
受講前、「コーチング」についてどのようなイメージや解釈をお持ちでしたか?
相手の長所を見つけてほめる、適確な質問をして相手の問題解決を促す技術というイメージでした。自発性を促し、自信をつけさせるためにどのように褒めたらいいか?また、相手に考えさせて問題を自ら解決できるよう導いていくためにどんな質問をしていくのか?そんな技術だと思っていました。相手を成長させるためのものだと思っていたので、これほどまでに自分のことに意識を向けたり、また、自分自身の成長にもつながったりするものだとは考えてもいませんでした。
クラスの仲間とともに学んだ感想をお願いします
普段、自分が接する機会の少ない、いろんな職業、立場の人たちとふれあうことは非常に新鮮でした。それは単に、自分の知らない世界について話しを聴けるということだけではなく、人はこれほどまでに違うものなのかという驚きでした。「自分と他人とは違う」そんなことはわかっているつもりでしたが、実感させられたという感じです。そして、その違いが仮に嫌悪や反感であった場合でも、その人への興味・関心としても感じられようになってきました。
同時に自分のクセ、特徴、個性も感じられるようになりました。少し大げさかもしれませんが、お互いの個性の存在を認め合えるきっかけでもありました。そんな状況なので普段の職場などでは言えないこと、出せない自分を出すことができ、それについて相手が伝えてくれることが新たな気づきをもたらしてくれました。
コーチングを学んで、どのような変化がありましたか?
いろんなことの見方が変わりました。たとえ、自分と相反する考えや感覚であっても一旦はそれを受け止められるようになり、自分の成長にもつながっています。
今思えば、以前の私は、相手を自分の理解できる枠にはめ込んで解釈し、相手の価値観に無関心でした。自分と違う考え、感覚、やり方について、つい一言言いたくなる、そして、気がつくとそれを相手に主張している。順序立てで説明すれば、相手も自分と同じ結論にたどりつくと思っていた自分がいたように思います。
今は、相手が相手自身を活かしていくことと、自分が考える相手の理想的な状態に導くこととは違うと実感しています。それが、自分の考えとは相反するものであっても、それを受け止めやすくなりました。それは、自分の価値観を拡げ、成長させる素地にもなっています。
学習したコーチングをどのような場面で活かしていますか?
職場での部下や利用者様との面談はもちろん、普段の会話、コミュニケーションにおいても非常に役立っています。
たとえば面談では、相手自身が漠然としかとらえられていない不安や思いを意識化させる手助けをするときに活かしています。会議やディスカッションでは、他者の意見が自分とは反対の意見でも、その背景や発想のプロセスに関心を持ちやすくなり、余裕を持った発展的な関わりがしやすくなりました。
周囲との関わりのなかで、自分の中に葛藤や反発その他の感情が生まれそうなときそれにとらわれないようにすることにも役立ちます。また、娘の進路相談・受験対策にも活用しました。将来の目標設定や、学習習慣や問題を解くときのクセ(時間の使い方、問題のとらえ方など)の認識などにも使えます。もちろん、同様に自分自身についても応用しています。
そのほか気づきや学びについて自由にお書きください
相手が個性を活かすことをサポートするには、自分の個性とも向き合うことになります。コーチングの学びの中で相手と自分はいかに違うのか、それはどうしようもないくらいに根底から違うものであることが実感できました。すべての人がそれぞれ違っていると感じたとき、自分もまたその一人であり「それでいいのだ」と感じられました。いろんなことが随分楽に、前向きにとらえられるようになってきています。
また、自分と違う他者の存在を感じ、認められるようになっていくにしたがって、win-winの感覚が身についてきたように感じます。コーチングは、他者の成長・変化を促すだけでなくコーチ自身が成長する気づきやきっかけを与えてくれていると感じています。